映水BLOG

2023.2.11 / コラム

雛人形のそれぞれの名前とお道具の意味や役割

赤ちゃんの健やかな成長と幸せを願って飾るひな人形。
お人形はもちろん、お道具一つ一つにも大切な意味が込められています。

こちらでは、雛人形の並べられているお人形の名前とお道具の意味や役割について説明をしています。

お人形やお道具など、それぞれの意味や背景を知った上でひな祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

雛人形の起源

雛祭りの起源は、古代中国だといわれています。

古代中国では「上巳の節句(じょうしのせっく)」に川で体を清め災厄を祓う風習がありました。

この風習が日本に伝わり、「人形(ひとがた)」もしくは「形代(かたしろ)」と呼ばれる紙で作った人形に息を吹きかけ、厄を移し、身代わりとして川に流す「流し雛」のルーツになったという説もあります。

そしてこの人形(ひとがた)と平安時代の貴族の子女たちが遊んでいた「ひいな遊び」とが結びついて「雛祭り」になったといわれています。

平安時代の「ひいな遊び」に使われたのは、紙や布で作られた素朴な人形だったと考えられています。

やがて時代がすすむにつれ、ひいな遊びの人形は華麗で立派なものになり、飾って楽しむものへと変化していきます。

江戸時代になると庶民の間にも雛人形を飾る風習が広がり、豪華な雛を購入して自慢し合う「ひな合わせ」や知人の家に雛人形が土産を持って訪ねる「ひなの使い」も盛んになりました。

こうした風習が現在の桃の節句・雛祭りへとつながっていきます。

雛人形を飾る意味

昔は乳幼児の死亡率が高く、子供が無事に成長できるかどうかは、神のみぞ知る事柄でした。

そのため雛人形の起源の章でも触れたように、人形に厄を移し、身代わりとして川に流す風習が雛人形のルーツになっています。

現在は昔に比べれば、乳幼児の死亡率は格段と下がっています。

ですが、逆に病院からなかなか戻れない子供も多くいます。

また、なかなか子供を授かれないご夫婦も多くいることと思います。

そのようなご夫婦が子供を授かった時、やはり一番に願うのは子供の健康と成長なのではないでしょうか?

大切なお子さんが災害や何らかの事故に巻き込まれないようにと祈り続ける日々なのではないでしょうか?

そのために、何かに願いを込めたいと思うのは当然のことだと思います。

すなわち雛人形には、女の子の誕生を祝い、子供が健やかに育ち幸せになってほしいと願う両親の祈りが込められているのです。

雛祭りは人形を川に流すのではなく、飾ることで厄を祓うという形に変化し、現在でもお子様の誕生を祝う大切な行事の一つとなっています。

親王(しんのう)  男雛と女雛

親王とは男雛(おびな)と女雛(めびな)のことを表しています。
つまり、お殿様とお姫様です。

男雛は当時の正装の束帯(そくたい)を着ています。そして右手には、木などでできた細長い板の笏(しゃく)を持っています。この笏の裏側には、大切なことを忘れた時の備えとして笏紙(しゃくし)に記し、貼っていたと言われています。
そして、刀は左脇に差し込み、冠には纓(えい)を立てます。

女雛は、桧扇(ひおうぎ)を持っています。礼装の際に持つ扇で木の板を紐でつなぎ飾り紐を付けています。
桧扇は、当時身分の高い女性が顔を見られることがあまり良くないこととされていたためにお顔を隠す意味もありました。

官女(かんじょ)

官女とは、当時の女性の役人のことを指しています。
三人官女は、真ん中が座っており、左右には立ち姿のお人形を飾ります。
左右の官女には、右足と左足が出ているものもありますが、その場合、足が出ている方を外側に飾ります。

お道具は、一般的には、長柄銚子(ながえちょうし)、三宝(さんぼう)、くわえの銚子を持っており、お神酒を注ぐために使用されるという意味があります。

京風の飾りには、真ん中の官女に嶋台(しまだい)を持たせます。嶋台は、婚礼の際に用いられ三三九度の盃置きの役目があります。

五人囃子(ごにんばやし)

五人囃子は、能楽を奏でる子供の楽師たちです。
まだ元服をしていないため、通常は、おかっぱの髪形をしています。

向かって左から「太鼓(たいこ)」、「大鼓(おおつづみ)」、「小鼓(こつづみ)」、「笛(ふえ)」、「謡(うたい)」の順番に飾ります。

お道具は、それぞれの頭に烏帽子(えぼし)をかぶせ、左脇には刀を差し込み、向かって左から太鼓、大鼓、小鼓、笛、扇を持たせてください。

お人形を並べる順番は、右より謡から太鼓になるにつれ、音が大きくなっていくと覚えると良いと思います。

随身(ずいしん)

随身は、お殿様を護衛する役割を担っています。
長いヒゲの老人の姿をしているお人形は左大臣(向かって右)、若くりりしいお顔をしているお人形は右大臣です。

お道具は、纓(えい)を内に巻いた冠をかぶせ、左手に弓を持ち、右手には矢、左脇には刀を差し込み、背中には背矢を差し込みます。
背矢は、羽が左側に出るように差してください。

これらは、儀式で使用するための装飾的なものだとされています。

仕丁(しちょう)

仕丁は、御所のお掃除をしたり、傘や靴を必要な時に親王に渡すという仕事をしています。

庶民出身の三人のお顔は、「笑い顔」、「泣き顔」、「怒り顔」という人間の三大感情が描かれていると言われています。

お道具は、向かって左から、台笠(だいがさ)、真ん中が沓台(くつだい)、そして右は先が細長い立傘(たてがさ)を持っています。
烏帽子は首に掛けてください。

京風の飾りの場合は、向かって左から箒(ほうき)、塵取(ちりとり)、熊手(くまで)を持っています。これらは、京都御所の清掃をするためです。

お道具の意味について

雛人形は、結婚式を表しています。そして、赤いもうせん屏風や雪洞(ぼんぼり)、桜橘などの様々なお道具も一緒に飾られています。

これらのお道具一つ一つにもきちんとした意味があり飾られています。

  • ・緋毛氈(ひもうせん)

雛人形の段飾りやセットの下に敷く赤いもうせんのことを緋毛氈と呼び、魔よけの意味が込められています。

赤い色は、雛人形だけでなく、神社や様々な場所で魔よけの意味として使用されています。

  • ・親王台(しんのうだい)

親王台とは、お姫様とお殿様が座るための台です。
一般的な親王台の畳のふちには、繧繝模様(うんげんもよう)が表されています。
この模様は、紅・紫・青・緑などで表現され、当時、身分の高い人のみにゆるされていた大変縁起の良い模様です。

  • ・屏風(びょうぶ)と雪洞(ぼんぼり)

雛人形には、一般的には屏風と雪洞が飾られています。

雪洞は、もともとはろうそく立ての燭台(しょくだい)が用いられておりました。

江戸時代の結婚式は、夜に行われていたため照明器具が必要だったのです。

そして、雛人形の後ろには、屏風が立てられます。
現在では、様々な屏風がありますが、金色の何曲かに折れ曲がっている屏風が使用されているのは、雪洞の明かりを乱反射させ効率よく全体を照らすためです。

  • ・右近の橘(うこんのたちばな)と左近の桜(さこんのさくら)

雛人形には、左右には一般的に桜と橘を飾ります。
桜には、邪気を払う意味があり、橘は一年を通じて葉が緑色である常緑樹であることから永遠を連想させる縁起の良い木として飾られています。

京都御所には、平安時代から「左近の桜」と共に「右近の橘」として植えられ、左近と右近はそれぞれ左近衛府、右近衛府を省略したもので、当時の陣を敷いた際に陣頭に植えられていたことに由来をしているといわれています。

  • ・お嫁入り道具

雛人形は結婚式を表しているために、お嫁入り道具が飾られています。

衣類などをしまうための箪笥(たんす)や長持(ながもち)、挟箱(はさみばこ)などの三つ揃い(みつぞろい)やお化粧をする鏡台や裁縫をするための針箱、その他にも火鉢や茶道具も飾られます。

  • ・御輿(おこし)入れ道具

御輿入れ道具は、御駕籠(おかご)や御所車(ごしょぐるま)、または牛車(ぎっしゃ)なども飾られます。

これらのお道具は、お姫様とお殿様が婚礼行事で外を練り歩く時などに使用されるため雛人形にも飾られています。

  • お料理など

雛人形はとても縁起の良いものです。お祝いの席にお料理は欠かせません。

そのため重箱なども飾られます。その他にも、菱餅(ひしもち)は、白、緑、ピンクの三色で表現されているのは、雪が解け、春には新芽が吹き、花が咲く様子を表しており、丸餅(まるもち)は縁起の良い紅白のお餅を高坏(たかつき)にお供えしています。

まとめ

雛人形は、お人形それぞれにも大切な意味が込められていますが、持ち物やお道具にも大切な意味があり飾られています。

平安時代から続く雛人形の文化は、長い年月を掛けて、現在まで伝えられています。

雛人形を飾るということは、とてもきれいな日本文化と歴史を知るきっかけとなるばかりでなく、お子様の一生の思い出となり、宝物となります。

お子様の健やかな成長と幸せを願う家族の思いは、いつの時代も大切にされていくことでしょう。

雛人形の置き方と飾り方を写真と一緒に解説

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