「人間と同じように、人形にも魂があるんですわ。」
「顔はみんな同じように見えるかもしれんが、表情はそれぞれ違ってね。生まれた子が女の子なら美しくみえるし、男の子ならたくましく見えるし、子供を育てようとする親のきもちが、そのまま人間の顔に表れるんだよ。」
「人形っていっても、すべて我が子のように思えるもんだから、目や鼻や口、どれをとっても細かいところまで気を遣っとるんですわ。やっぱり顔はきれいなほうがいいしね。」
一口に人形造りと言っても、特に顔を造る時は、造る人の心が顔に出ますからね。「人想」と言って、必ず出来た顔に現れるのです。だから、造って居る時は自分の心を穏やかにして喜んで造らせて居るのです。他者と争った後は仕事をしてはいけません。一日過ぎて、心晴れ晴れの気持ちで工房に入って仕事をする様にしています。兎に角、怒ってはいけません。
経済産業大臣指定伝統的工芸品
名古屋節句飾 頭部門 第一号 伝統工芸士
人形造りと言っても、一から十まで一応出来る迄に十年程掛かります。師匠の手元を良く見ながら、自分なりに何回も何回も行って、師匠が「これでまあまあ」と言われる迄、五年は掛かります。その後は自分で色々他の人形師の造った物を見て、自分なりの作品を作っては壊し、造っては壊しを繰りかえして居る間に十年ぐらい過ぎて仕舞うのです。その後は研究有るのみです。
顔を造る時は外を歩いていても人の顔ばかり見て歩いて居るのです。
時代の流れに沿った奥の深い物を造る事を心に銘じて常に自分の心を安静に喜びの心で作品を重ねています。
経済産業大臣指定伝統的工芸品
名古屋節句飾 頭部門 伝統工芸士
江戸時代には当たり前にあった桐塑胡粉仕上げの技術を伝える職人は、今では日本で数人になってしまいました。桐塑胡粉仕上げでしか表現できない温もりや質感、美しさを大切にし、人形を制作しています。工房での一日一日のほんの少しずつの積み重ねがいつか形になり、後世に伝えていけるような作品が出来たらいいなと思っています。
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