雛人形に歯や舌はあるの?三人官女は?お歯黒の意味は?職人が解説!
3月3日の桃の節句には「幸せに育ってね。」と願いを込めて飾る雛人形。
素敵な雛人形と一緒にお祝いをしたいですね。
そういえば、雛人形に歯とか舌ってあったかな?お歯黒になっていたような・・・と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
こちらでは、雛人形には
歯はあるの?
舌もあるの?
お歯黒の意味は?
三人官女の表情はそれぞれ違うの?
ということについて伝統工芸で雛人形のお顔をつくる味岡映水が桐塑頭で実際に制作をして説明をしています。
桐塑頭の雛人形の舌と歯の表現 伝統工芸
伝統工芸の雛人形のお顔は、歯や舌を表現するために、生地抜きをし、乾燥をさせた時点で口を奥まで開けてから制作をしています。
伝統工芸の桐塑頭について理解を深めたい方は「味岡人形 伝統工芸 桐塑頭」をご覧ください。
舌を表現する前の桐塑頭の雛人形のお口です。
舌を表現した後に、歯を表現していきます。
つまようじの右に置いてあるものが雛人形の舌です。
こちらも職人が、和紙に胡粉を塗り、彩色をして一つ一つ制作しています。
舌を表現した桐塑頭の雛人形のお口です。
舌を表現した後、歯を表現します。
歯は、胡粉と膠(にかわ)を練り、細い筆を使用して一本一本表現していきます。
胡粉・・・貝殻の粉
膠・・・動物のせき髄などから採れるゼラチン
歯を表現した胡粉が乾いたら、筆と墨を使用して「おはぐろ」にします。
・お歯黒の意味
お歯黒(おはぐろ)は、いろいろな説がありますが、奈良時代に北方民族により伝えられたと言われ、1000年以上の長い歴史があります。平安時代には、貴族の間で広まり、やがて江戸時代には一般の人々もお歯黒をするようになりました。お歯黒には、結婚をしている人という意味があり、さらに虫歯予防の効果もあったと言われています。
そのため、雛人形は「お姫様」だけでなく「お殿様」、「三人官女の真ん中の人」もお歯黒になっています。
桐塑頭の三人官女の表情 伝統工芸
桐塑頭の雛人形のお殿様とお姫様は、歯も舌も表現されており、お歯黒にしています。実は、三人官女の表情も一人一人手作りで表現しています。
真ん中の官女です。剃っている眉毛を青く表現しています。こちらは、引眉(ひきまゆ)といい、お歯黒と同様に結婚している女性を表しています。
歯を一本一本表現した後に、お歯黒に表現しています。
左右の官女は、口を開けている表現と口を閉じている表現にしています。まだ結婚をしていない女性を表現しているため、お歯黒にはなっていません。
ご覧のように、桐塑頭の三人官女も細かなところまで表現しています。一つ一つ手作りで制作をしているためなのですが、それぞれ一人一人の個性を表現したいという職人の思いが表れています。
・石膏頭 現代のお顔
現代の技術で作る石膏頭(せっこうがしら)は、シリコンの型に石膏を流し込んで作られています。
型抜きの際に目、鼻、口だけでなく、歯や舌も同時に表現されます。
シリコンの型抜きの際に同時に表現された歯をおはぐろにしています。
まとめ
桐塑頭の雛人形は、職人が手作業により歯や舌を表現しています。三人官女のお顔も一つ一つが手彫りで表現されているためにそれぞれの表情が違い、歯や舌も表現されています。
現代の石膏頭の雛人形は、石膏の型抜きの際に同時に歯や舌も表現されます。
雛人形の口元は、表情を表現するうえでも大切な部分です。職人が一つ一つを丁寧に表現しているんですね。
一度、雛人形の口元にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
当工房では、伝統工芸の桐塑頭の雛人形を全国一の品揃えで皆様のご来店を心よりお待ちしております。
- 投稿日時:2020.5.25 19.03.55 / カテゴリー:コラム
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