映水BLOG

2015.7.29 / その他

平田郷陽作の市松人形、答礼人形、自由人形です。吉徳これくしょん

二代 平田郷陽 作

昭和時代初期 20世紀

自由人形 二代 平田郷陽 作 昭和時代初期 20世紀

「自由人形」とは、手足の関節をゴムや金具で接続し、自在に曲げられるようにした人形のこと。江戸時代以来の「三つ折れ人形」に変わるものとして、昭和初期に考案された。

上の平田郷陽作の市松人形とこの自由人形は、ともに平田郷陽作として吉徳で販売されたものであるが、同一人によるとは思えぬ作風の差異があり、郷陽の弟である平田陽光や平田玉陽らを含む「郷陽工房」の実態を検証するための資料ともなるだろう。

市松人形 (やまと人形)

二代 平田郷陽 作 昭和時代初期 20世紀

市松人形 (やまと人形)

二代 平田郷陽 作 昭和時代初期 20世紀

答礼人形 (とうれいにんぎょう)
二代 平田郷陽作 昭和2年 (1927)

「日米親善人形交流」の際に、アメリカから贈られた「青い目の人形」への返礼として、日本からは58体の「答礼人形」を送ったが、それと同じ様式の人形である。答礼人形選定時に、弱冠24歳ながら最も高い評価を受けた作者が、世話役を務めた吉徳十世山田徳兵衛氏に敬意を込めて贈ったものである。

市松人形(やまと人形)一対

二代 平田郷陽 作 昭和9年 (1934)

生けるがごとく写実的に表現する「生人形」の技法を父、初代平田郷陽から受け継いだ二代平田郷陽(1903~81、重要無形文化財技術保持者=人間国宝)は若き日の一時期、市松人形や五月人形の金太郎などを手がけていた。それらは商品として制作されたものだが、そこに見られる確かな技術と、豊かな芸術性こそは、のちの人形作家時代に制作された作品の土壌となったのである。卓越した写生の技法と深い精神性の合致はまさに現在までの人形美の頂点といえよう。

 

※掲載している写真は、吉徳様より掲載許可を頂いております。

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