木目込み雛人形の立雛を解説!特徴やお顔の作りまで
3月3日のひなまつりには、お子様の健やかな成長を願って雛人形と一緒にお祝いをします。
ひな人形には、とても上品な木目込み人形の「立雛(たちびな)」があります。
こちらでは、立雛の歴史と一緒に
・木目込み雛人形の立雛の特徴
・お顔の作りの種類
を伝統工芸でひな人形のお顔を作る職人が説明しています。
立雛の歴史
雛人形の歴史は深く、平安時代にまでさかのぼると言われてます。当時の上巳(じょうし)の節句に災厄を祓う為に使用されていた人形(ひとがた)が長い時間を掛けて雛人形となりました。そして江戸時代になり、女の子の初節句を祝う大切な行事となりました。「立雛」は最も古い形の雛人形だと言われています。初めの立雛は紙で作られていましたが、次第に精巧につくられるようになりました。その頃の立雛は、お顔は木彫で作られており自立することはなく、寝かせたり壁に立てかけて飾られていました。そして、紙で作られていた衣装は、衣装着や木目込人形でも制作されるようになりました。一般的な木目込み人形の立雛の姿は、江戸時代の立雛の姿ととてもよく似ており、現代でも多くの人に愛されています。
木目込み雛人形の立雛の特徴
- ・シンプルでスタイリッシュ
木目込み雛人形の立雛は、とてもシンプルでスタイリッシュです。お人形もとてもシンプルなスタイルをしておりますが、飾り方も台と屏風とお道具というシンプルなものがとてもよく似合います。上品で飽きのこないお人形です。
- ・とても楽に飾ることができる
木目込み雛人形の立雛は、お姫様とお殿様のセットの場合がほとんどですので、基本的には、台を置いて、屏風を置いて、お人形やお道具を置いて飾り付けることができます。また比較的、お殿様やお姫様のお道具類も少ない場合が多いです。
型くずれを気にすることなく飾ることができ、収納の際にも心配することもありません。
コンパクトな作品も多いので、少しのスペースにも飾ることができます。
立雛のお顔の作りの種類
雛人形のお顔の素材には、木、桐の木の粉、石膏(せっこう)、陶器(とうき)、プラスチックなどがあります。
江戸時代の雛人形のお顔は木彫をベースとした「木彫頭(もくちょうがしら)」が多く作られていましたが、江戸時代の中期頃から昭和の中期頃までは、桐の木の粉と糊を混ぜた桐塑(とうそ)をベースとした「桐塑頭(とうそがしら)」が多く作られていました。
そして、現在の雛人形のお顔の中で最も使用されている素材は、石膏をベースとして作られる「石膏頭(せっこうがしら)」です。海外でも多く作られるようになりました。
- ・桐塑頭 伝統のお顔
伝統のお顔の土台
江戸時代からの伝統技術で作られる桐塑頭の雛人形は、桐の木の粉と糊を混ぜて生地抜きをし、乾燥させたものが土台となっています。熟練の職人が、貝殻の粉を膠(にかわ)で溶いた胡粉を地塗り、中塗り、上塗りと10数回~20回ほど塗り重ねて一カ月ほど掛け制作されます。目、鼻、口なども彫刻をして表現されるため、世界に一つのお顔ができあがります。天然素材を使用したあたたかく味わいのあるお顔です。
- ・石膏頭 現代のお顔
シリコンの型に石膏を流し込んで作られるお顔です。一度、良いお顔から型を起こせば、同じお顔を作ることができます。目さらい、仕上げの塗り仕事、筆仕事や結髪(けっぱつ)などの作業は必要ですが、伝統のお顔よりも制作工程を大幅に短縮することができるようになりました。良いお顔を早くたくさん正確に作ることができます。
- ・木目込み雛人形の立雛
木目込み人形の立雛には、とてもたくさんの種類があります。
目は筆と墨で表現した「書目(かきめ)」のお顔とガラスの目が入った「入目(いれめ)」のお顔があります。
衣装の布には、正絹(シルクのこと)、木綿、化繊(かせん)などがあります。
シルクの布を使用した木目込み人形の立雛
筆と墨を使用して目を表現した「書目」の立雛
間口 約24センチ
奥行 約20センチ
高さ 約18.5センチ
とてもコンパクトでかわいい木目込み雛人形の立雛もあります。
ガラスの目が入った「入目」のお顔です。
- ・まとめ
立雛は、始めに誕生した雛人形だと言われており、とても歴史のある雛人形です。
お顔も伝統のお顔から現代のお顔までいろいろとあります。
比較的簡単に飾ることができる雛人形ですし、大きさやデザインもたくさんの種類があります。
飾る場所なども考えて、素敵な立雛を探してみてください。
かわいい立雛のお顔は、お子様に似せてつくるオーダーメイドも承っております。
衣装のデザインや大きさも色々な種類からお選びいただけます。
職人が、伝統工芸で制作する世界に一つの雛人形です。
オーダーメイド雛人形のことを詳しく知りたい方は「味岡人形 オーダーメイド雛人形」をご覧ください。
伝統工芸のお顔をつくる数少ない工房です。
- 投稿日時:2020.6.28 19.00.46 / カテゴリー:コラム
- https://ajioka.net/blog/colunm/17543