五月人形の小道具の紹介|特徴や意味
大きな五月人形を飾るスペースはないけど、できるだけ華やかに飾りたい!
そんな方におすすめなのが、コンパクトな五月人形に小道具を添える方法です。
五月人形に合わせて小道具を取り入れることで、五月人形の存在感が引き立ちます。
中にはお子さまの名前や生年月日を入れられるものもあり、世界で一つだけの特別感があります。
そこで今回は、五月人形に添えたい小道具の種類と特徴を紹介します。
五月人形の小道具の意味
五月人形の小道具にはたくさんの種類がありますので、お好みで選んで飾っていただけます。
本来、五月人形は「子供の身代わりとして災厄を引き受ける」という意味があることから、一人に一つが基本とされています。
しかし、飾るスペースや収納場所などの問題で2つ以上の五月人形を購入するのは難しい場合も多く、そのような場合に小道具を取り入れることで、お子さま一人一人のお祝いができます。
小道具にはそれぞれ意味があり、どれもお子さまを守るのに欠かせない大事な役割をしています。
ここでは、五月人形に添える小道具を一通りまとめましたので、それぞれの特徴を知っていただきお好きなものを取り入れてみてください。
鎧・兜
当時の武家社会では、戦に使う「鎧」や「兜」などの武具は非常に大切なものでした。
武具は戦いの道具ですが、鎧や兜は身を護る大切な防具でもあります。
このように武家社会文化の名残りで、大切な子どもを守ってくれるようにと願いを込めて鎧や兜を飾ります。
弓矢・太刀
弓矢と太刀には魔除けの意味があります。
弓矢は儀式に用いられる神聖な道具でした。
平安時代の宮中では邪気や災厄を祓うための儀式として、天に向けて葦の矢を射る儀式や弓の弦の音を鳴らす儀式などが行われていました。
「破魔矢(はまや)」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思いますが、これは魔物を矢で退治することですので、矢の中でも特に魔除けの意味を表した言葉です。
また、中国の伝説に出てくる武神として有名な鍾馗は、弓矢を使って疫病や悪夢を追い払うといわれていることから、武者人形や武者絵幟によく用いられるモチーフとして有名です。
そして、太刀もまた刀とは別で、戦うための道具ではなく儀式に用いられるものです。
魔物は光り物を嫌うとされ、太刀の刃物は光り物として護身に最適だったのです。
五月人形を真ん中に、向かって左側に弓を、右側に刀を置きます。
太刀は戦うための道具ではないので、鞘(さや)を上にして、手で握る柄(つか)を下の方にして飾ります。
弓太刀
弓と太刀が一対になっているものです。
五月人形の両脇に飾ります。
向かって右に太刀、左に弓を設置するケースが一般的で、子どもを守ってくれますようにという願いを込めて飾られます。
屏風
五月人形の後ろに飾る屏風には、縁起物としての意味とお人形の美しさを一層引き立たせてくれるという役割があります。
屏風の中でもよく用いられる金屏風には「子どもの人生が金色に光り輝きますように」といった願いが込められています。
また、屏風の絵柄にもそれぞれ意味がある縁起物が描かれています。
屏風の絵柄の意味についてはこちらの記事で紹介しています。
五月人形と一緒に飾る屏風について。屏風本来の意味や絵柄の意味
屏風があると、お子さまとの記念撮影もより雰囲気に華やかさを出すことができます。
三品
三品は、軍扇、陣笠、陣太鼓の3つを指します。
どれも戦にかかせない道具です。
軍扇は、軍を指揮するために使った扇で、金などで日の丸を描いたものが多くあります。
陣笠は、下級の兵が昔、兜の代わりにかぶった笠です。
陣太鼓は、自分の軍に合図を送るための太鼓です。
鎧や兜の前に3つセットにして飾られます。
三宝
三宝は、瓶子(へいし)、柏餅、粽(ちまき)の3つを指します。
三台とも呼ばれます。
瓶子は、酒を入れる器でまつりや祝事などの行事に使われていました。
柏餅は、餅にあんこを挟んで柏の葉で包んだ和菓子です。
柏の葉は冬になり枯れ葉となっても木から落ちず、新芽が芽吹く頃まで木に残ることから、神様に守られていると考えられてきました。
このことから「家系の継続」や「子孫繁栄」の願いが込められています。
粽は、中国の故事に由来します。
古代中国には「屈原(くつげん)」と呼ばれる人望の厚い政治家、詩人がいたのですが、陰謀によって国を追われ川へ身投げしました。
それを嘆き悲しんだ人達が、お供え物として川へ「ちまき」を投げて弔ったといいます。
この言い伝えから中国では「忠義のある大人に成長する」ことを願い、さらに「災いを避けられるように」子どもにちまきを食べさせるようになったそうです。
三台の基本的な位置としては、五月人形の手前に揃えて飾ります。
名前札
お子さまの名前を印字した札です。
名前の横に生年月日を入れられるものも多く、お子さまの誕生の記念におすすめの小道具です。
名前旗
お子さまの名前を印字して飾る旗です。
タペストリーとして壁に飾れるものもありますが、人気なのはスタンド式の台が付いた名前旗です。
素材はちりめんや金襴などで、誕生日が入れられるものもあります。
名前部分は刺繍やプリントなど商品によってさまざまです。
戦国時代、戦で敵と味方を識別するために自軍の陣に家紋などが入った幟を立てていたことが名前旗のルーツとなっています。
名前旗の種類や絵柄の意味についてはこちらの記事で紹介しています。
つるし飾り
布で作られた細工小物を糸でつるして仕立てたお飾りです。
赤ちゃんが初節句を迎える際に、健やかな成長や将来の良縁などを祈願して飾られます。
五月人形の横に飾ってもいいですし、玄関に飾る方もいます。
鯉のぼり
その名の通り、鯉の形をした布製の幟(のぼり)のことです。
江戸時代には、将軍に大切な世継ぎの男の子が生まれると、「幟旗(のぼりばた)」を立ててその誕生を知らせました。
しかし、江戸時代の庶民は武士のような武具や幟旗は持っていませんでした。
そのため、紙で鎧兜や鯉の形の幟旗を作って端午の節句に飾るようになりました。
のぼりのデザインに鯉が選ばれたのは、「鯉が激しい竜門の滝を登り切ると竜になる」という『登竜門』の伝説に由来します。
お子さまの健やかな成長と出世を願って飾られます。
両立のぼり
内飾りとしての鯉のぼりと吹流しが一対(いっつい)になった飾りのことです。
商品によっては鯉のぼりと名前旗が一対になったタイプもあります。
お子さまの健やかな成長と出世を願って飾られます。
両旗飾り
五月人形の両脇に飾る、一対の旗飾りのことです。
中にはお子さまの名前や家紋を入れられるものもあります。
雪洞(ぼんぼり)
周囲が和紙や絹張りで覆われたちょうちん型をした灯りです。
雛人形は天皇の結婚式を模したものですが、江戸時代の結婚式は「亥の刻(21時から23時の間)」に行われていたこともあり、灯りがなければ何も見えないため、ぼんぼりは結婚式における必須アイテムだったようです。
その風習がいつしか雛人形にも取り入れられるようになり、お人形の周辺を彩るお道具のひとつとして親しまれています。
ぼんぼりは、男雛と女雛が飾られている段の左右に飾りましょう。
ぼんぼりの灯りには、電池で光るタイプやコンセントタイプ、LED、電球などさまざまな種類があります。
戌張り子
初宮参りに用いられることが多い、子犬の形をした張り子人形です。
犬は昔から災厄から身を守るといわれていることから、お守りとして五月人形や雛人形などにも添えられます。
春駒
春駒は、門付け祝福芸のひとつで、正月に各戸を回り、馬の首の形をしたものを持ったり、これにまたがったりして歌い踊る風習です。
「駒」は「馬」を意味しており、「馬」は縁起が良いとされています。
春駒には、厄除けや邪気邪気払いをしてくれる力があるといわれています。
毛氈
お人形の下に敷く敷物のことです。
五月人形の下に敷く毛氈は、緑色のものが用いられることが多いです。
まとめ
五月人形の小道具にはたくさんの種類があり、五月人形を華やかに引き立たせてくれます。
また、小道具にはそれぞれ意味がありましたが、1つ1つの意味を知るとどれも興味深いですよね。
また、2人目以降の男の子に五月人形を購入されない場合は、初節句のお祝いとして小道具を増やすのもおすすめです。
小道具をプラスすることで、お子さまの特別なお祝いになるでしょう。
当工房は、江戸時代から続く伝統技術を現代に受け継ぐ人形工房です。
五月人形は、大切なお子様の健やかな成長と幸せを願い、お守りとなる日本の伝統文化です。
お気に入りの五月人形を飾り、お子様の誕生を家族で毎年お祝いしていきましょう。
- 投稿日時:2023.5.23 04.27.34 / カテゴリー:コラム
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