高級な市松人形とは?職人がわかりやすく解説!
「高級な市松人形ってどういうものなの?」と気になっている方もいらっしゃると思います。
こちらでは、お顔のことや着物のことなど、高級な市松人形とはどのようなものなのか、ということを市松人形をつくる職人が説明をします。
高級な市松人形のことを説明する前に、こちらで説明をする「高級」ということの意味を明らかにしておきましょう。
「高級」ということは、人によっては、お値段が高いものとそれぞれのもつ解釈により意味も異なってくると思いますが、こちらでは、昔ながらの伝統的な技法で作られたものを高級な市松人形としています。それは、伝統的な技法で作られた市松人形は熟練の職人が、技法や材質、着物の生地から縫製、着せ付けまですべてにこだわり、時間を掛けて制作をしているからです。
市松人形には、現在大きく分けて江戸時代からの伝統工芸「桐塑(とうそ)」で作られたものと、現代の「石膏頭(せっこうがしら)」で作られたものの二通りあります。
- ・桐塑
桐の木の粉と糊を混ぜ乾燥させた生地に胡粉を塗り仕上げる江戸時代からの伝統的な製法です。職人が手作りで制作するため、市松人形が完成するまでには一カ月以上掛かります。
- ・石膏頭
シリコンの型に石膏を流し込んでつくられる近代的な製法です。こちらも職人が仕上げているのですが、桐塑の製法と比べると工程や時間なども大幅に短縮することができます。
桐塑市松人形ができるまで
桐の木の粉です。
胡粉(ごふん)です。貝殻の粉です。
膠(にかわ)動物から採れるゼラチンです。
生地抜き
地塗り 中塗り
彫刻
彩色
毛植え 結髪
手足、胴の制作
手足の彫刻 仕上げ
完成
下着の着せつけ
着物の生地の裁断 縫製
帯の制作
帯を手結び
桐塑市松人形完成
桐塑市松人形は、桐粉や胡粉、膠などの天然素材を使用して職人が一カ月以上掛けて制作をしています。
着物は、生地から裁断をして、和裁士がお人形用に仕立て、足袋を履かせ、下着なども着せ、帯も一本で制作し、手結びで着せ付けをしています。そのため着せ替えもできます。
桐塑でできた市松人形は、年月とともに、味わいが出てくるのも特徴の一つです。100年以上大切にしていただける作りとなっております。
- ・市松人形の種類
現在販売されている市松人形は大きく分けて3種類あります。
着物の生地の種類は2種類あります。
・お顔は桐塑 胴も桐塑
お顔も胴も伝統技法でつくられた着せ替えもできるタイプ。
・お顔は石膏頭 胴は陶器など
お顔は石膏製、胴は陶器など、着物は着せ替えができるタイプ。
・お顔は石膏頭 胴は発泡スチロール
お顔は石膏製、着物が上と下で別々にできており、帯を貼り、仕上げた着せ替えのできないタイプ。
- ・着物の種類
・正絹(シルクのこと)
蚕が作り出す繭からできる糸を使用した生地から作られる着物。
蚕を育てる工程から始まることを考えるととても時間の掛かる生地である。
・化学繊維
石油を使用した生地から作られる着物。正絹と比べると安価に製造できる。
・高級な市松人形 まとめ
石膏を使用する石膏頭の市松人形よりも、昔ながらの伝統技法で作る桐塑の市松人形のほうができあがるまでには、技術や時間、コストも必要とするためこの記事の中での意味では、「高級」ということとなります。着物の生地は、化学繊維よりも正絹のほうが「高級」ということとなります。
石膏頭の市松人形が悪いもので、桐塑の市松人形が良い。また、石膏頭の市松人形が良く、桐塑の市松人形が悪いお人形ということはございません。
しかしながら、私個人の職人が桐塑と石膏頭との両方の制作方法で人形を制作した場合、よりレベルの高い表現をするためには桐塑の素材を使用することが望ましいと思っております。
お好みのお顔や、ご予算に合わせて素敵な市松人形を探してみてください。
たくさんの市松人形を見て、お気に入りのお人形が見つかるといいですね。
当工房は、職人が桐塑頭の伝統を守り、雛人形、市松人形、五月人形のお顔をつくっています。
あなただけのかわいい市松人形を探してみませんか。
- 投稿日時:2020.4.26 15.10.07 / カテゴリー:コラム
- https://ajioka.net/blog/colunm/11532