五月人形と一緒に飾る屏風について。屏風本来の意味や絵柄の意味
五月人形を華やかに引き立ててくれる「屏風」
屏風は日本古来の文化としても馴染み深いものですが、どのような役割があるのか、なぜ節句飾りに取り入れられたのかなど、具体的に知っている方は少ないかもしれません。
そこで今回は、屏風に関する基礎知識について解説します。
節句飾りにおける役割やデザインについても解説しますので、最後までご覧ください。
屏風の本来の役割は「調度品」と「装飾品」
屏風は「風を屏(ふさ)ぐ」という名の通り、もともとは風や視線をさえぎる目的で使用された調度品です。
外からの風よけとして、風通しが良い旧家屋で重用されてきました。
かつては紐でつながれている簡素なつくりのものが一般的でしたが、室町時代に発明された蝶番(ちょうつがい)によって進化を遂げ、折り畳みができて持ち運ぶこともできる便利な壁として重宝されました。
他にも「部屋の仕切り」として、二つの部屋に分ける用途でも使用され、視線をさえぎる役割もあります。
また、屏風には実用的な役割だけでなく、装飾品としての一面もあります。
職人や絵師によって美しい絵柄が施されたものが多く、そのような立派な屏風を飾ることは権威性を示すものとしても用いられるようになりました。
ちなみに、屏風の絵柄にはその時代の様子や流行が反映されている傾向があり、歴史を紐解くうえでも重要な資料とされています。
なかには貴重な芸術作品として、現代において高く評価されるものも少なくありません。
五月人形での「屏風」の意味
五月人形においても屏風は重要な役割があります。
五月人形と一緒に飾る屏風における具体的な役割を解説します。
- 縁起物
五月人形や雛人形にセットで飾られる屏風は、縁起物として取り入れられています。
屏風の中でもよく用いられる金屏風には「子どもの人生が金色に光り輝きますように」といった願いが込められているとされています。
また、屏風の絵柄にもそれぞれいにしえから伝わる縁起物が描かれています。
- お人形を引き立たせる
屏風を飾ることで、お人形の美しさを一層引き立たせてくれます。
コンパクトな五月人形でも、視線が入りやすく目立つようになります。
お子さまと記念撮影も、屏風があるだけで、より華やかな雰囲気を出すことができます。
特に金屏風は、折り曲げられた面に光が反射してお人形をより美しく見せられます。
しかし、住環境の変化によって和室のある住宅が少なくなったことから、きらびやかな金屏風はお部屋の雰囲気にマッチしづらいと敬遠される傾向にあります。
そのため、近年販売されている五月人形や雛人形においては、洋室にも馴染みやすい落ち着いたデザインの屏風を採用しているケースが多く見られます。
五月人形の屏風の絵柄
ここでは五月人形と一緒に飾る屏風において、描かれることが多い絵の意味を紹介します。
絵に込められた意味を知って選ぶと、より大切なものになるでしょう。
- 金屏風
金屏風には「子どもの人生が金色に光り輝きますように」という願いが込められています。
- ひょうたん
屏風に施されたひょうたんの文様は、魔除けや厄除け、「あふれんばかりの福」の意味が込められています。
- トンボ
トンボは「勝ち虫」とも呼ばれます。
素速い動きで虫を捕らえ、常に前を向き、一旦空中で静止し周りの様子を見て、またすぐに前に進みます。
不退転(信念を持ち物事に屈せず)の精神と、勝利を呼び込む縁起のいい虫として、戦国時代の多くの武将たちが、武具に絵柄を用いました。
- 菖蒲
菖蒲は、病気や災厄から守ってくれるものとして、飾ったり菖蒲湯に入ったりと端午の節句に深い関わりのあるものです。
美しい紫色の花が屏風を華やかに彩ります。
まとめ
五月人形や雛人形においての屏風には、「縁起物」と「お人形を引き立たせるもの」という2つの役割があります。
お人形のお顔やデザインだけでなく、屏風のデザインでも注目しながら選ぶことで、端午の節句や雛祭りをより一層華やかにお祝いできることでしょう。
当工房は、江戸時代から続く伝統技術を現代に受け継ぐ人形工房です。
五月人形は、大切なお子様の健やかな成長と幸せを願い、お守りとなる日本の伝統文化です。
お気に入りの五月人形を飾り、お子様の誕生を家族で毎年お祝いしていきましょう。
- 投稿日時:2023.4.25 14.30.44 / カテゴリー:コラム
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